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代表取締役 田中 慎也

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2026.08.21

地域の工務店に依頼するのは本当に正解なのか?確認してほしい5つのポイント

こんにちは。
「長野に暮らす、長野と暮らす。」
田中建築株式会社 代表の田中慎也です。

家づくりを考えている方から、
「やっぱり家は、地域の工務店にお願いした方がいいですよね?」
と聞かれることがあります。

私は地域に根ざした工務店を経営していますので、もちろん地域工務店にはたくさんの良さがあると思っています。
地域の気候を知っていること。
何かあったときにすぐに駆けつけられること。
地元の職人さんとのつながりがあること。
そして、建てた後も長くお付き合いできること。
これは、大きなメリットです。

ただし、今日はあえて少し厳しいことも書きたいと思います。

「地域の工務店だから安心」とは限りません。

むしろ、家づくりをする方には、
「昔からある会社だから」
「知り合いに紹介されたから」
「地元で評判がいいから」
という理由だけで、工務店を決めてほしくないと思っています。なぜなら住宅業界は、この10年、20年で大きく変化しているからです。

昔から続いていることと、今の住宅を勉強していることは別です

地域工務店には、「紹介」というありがたい文化があります。
「あそこで建ててもらって良かったよ」
「親戚もそこで建てたよ」
「昔から知っている大工さんだから安心だよ」
こうした信頼のつながりは、地域で仕事をする私たちにとって、本当にありがたいものです。

私たち田中建築も1949年の創業(創業77年)以来、地域の皆さんとのつながりの中で仕事を続けてきました。
ただ、経営する立場になって強く感じることがあります。

それは、紹介していただけることと、今の家づくりに必要な知識を持っていることは、まったく別の話だということです。

住宅の断熱性能、気密性能、耐震性、構造計算、省エネルギー、換気設備、太陽光発電、蓄電池、住宅ローン、補助制度。
そして、間取りやデザインについても考え方は変化しています。住宅を取り巻く環境は、私がこの仕事を始めた頃と比べても大きく変わりました。だからこそ、私たち工務店側が昔の経験だけで家をつくることはできません。
「今までこれで問題なかったから」
という言葉は、一見すると経験豊富に聞こえます。

しかし私は、とても慎重に考えなければいけない言葉だと思っています。経験はもちろん大切です。
ただ、経験に新しい知識が加わって、初めて現在の家づくりに生かせる。私はそう考えています。

地域工務店だからこそ、学び続けなければならない

これは他の工務店さんに対して言っているのではありません。私自身への戒めでもあります。
私はこれまで、設計や構造、住宅性能について学ぶために、日本のトップクラスの工務店が集まるさまざまな場所へ足を運んできました。

勉強すればするほど感じるのは、「まだまだ知らないことがあるな」ということです。

建築は本当に奥が深いです。構造について勉強すると構造の奥深さが分かる。断熱について勉強すると、断熱材を入れるだけでは十分ではないことが分かる。設計を学ぶと、単に部屋を並べることと、暮らしを設計することは違うと分かる。

お金について学ぶと、建築費だけではなく、光熱費やメンテナンス費、住宅ローン、生命保険、税金、相続まで含めて考える必要があることが分かる。だから、私は「地域密着」という言葉に甘えてはいけないと思っています。地域に根ざしているからこそ、その地域で暮らすお客様に対して責任があります。

地元で長く仕事をしていることは、勉強しなくてもいい理由ではなく、むしろ勉強し続けなければならない理由だと思うのです。

工務店選びで確認してほしい5つのポイント

では、地域工務店に相談するとき、何を確認すればいいのでしょうか。会社の規模や立派なモデルハウスだけでは判断できません。
私は、次の5つを確認してほしいと思います。

1.住宅性能を「数字」で説明してくれるか

「うちは暖かいですよ」「断熱には自信があります」という説明だけでは、判断が難しいと思います。
断熱性能を示すUA値や、気密性能を示すC値など、住宅性能には確認できる指標があります。

もちろん、数字だけで良い家が決まるわけではありません。しかし少なくとも、「なぜこの性能を目指しているのか」「長野の気候では、どの程度の性能が必要だと考えているのか」を説明できることは大切です。

数字を競う必要はありません。大切なのは、自分たちのつくる家の性能について、根拠を持って説明できることだと思います。

2.耐震性について具体的に説明できるか

「丈夫につくっています」だけではなく、どのように構造の安全性を確認しているのか。耐震等級をどう考えているのか。積雪のある地域では、その荷重をどのように考えているのか。こうした質問をしてみてください。

特に長野県では、地域によって積雪量も条件も違います。地域を知っている工務店であるなら、こうした地域特有の条件についても説明できることが大切だと思います。

3.最近、何を勉強しているか聞いてみる

これは、ぜひ聞いてみてほしい質問です。
「最近、会社としてどんな勉強をされていますか?」少し変わった質問に感じるかもしれません。しかし、私はとても重要だと思っています。

設計なのか。断熱なのか。構造なのか。省エネなのか。現場管理なのか。

経営者だけでなく、設計担当者や現場監督、大工さんが学ぶ機会をつくっているかも大切です。住宅会社も職人も、完成した存在ではありません。私自身もそうです。だからこそ、現在進行形で学んでいる会社なのかを見ていただきたいと思います。

4.メリットだけでなく、デメリットも説明してくれるか

どんな材料にも、どんな工法にも、メリットとデメリットがあります。自然素材にも特徴がありますし、高性能な設備にもメンテナンスは必要です。大きな窓には魅力がありますが、配置や性能によって室内環境への影響も変わります。

「これは絶対に大丈夫です」「これさえやれば安心です」ではなく、こういうメリットがあります。ただし、こういう点には注意が必要です」

と説明してくれる会社の方が、私は信頼できると思います。家づくりは、何か一つの正解を買うものではありません。ご家族の暮らし方、予算、土地、地域の気候などを考えながら、バランスを取っていくものだからです。

5.建てた後のことまで考えているか

家は完成した日がゴールではありません。むしろ、そこから30年、40年、50年と暮らしが続いていきます。

だから私は、「この会社は、建てた後も存在し続けようとしているだろうか」という視点も大切だと思っています。定期点検やメンテナンスだけではありません。会社として人を育てているか。若い大工や技術者を育てているか。技術を次の世代へ継承しようとしているか。経営者として会社を続けていく努力をしているか。

地域工務店の本当の価値は、「近いこと」だけではありません。何十年後も、その地域にいて、お客様の家を守れること。そこまで含めて地域密着だと私は考えています。

加えて、しっかりとお金のことを一緒に考えてくれるかも重要だと思っています。

住宅ローンの正しい組み方、家づくりにかける費用の正しい出し方。生命保険の重要性、相続のこと、税金のこと。
家そのものだけではなく、長い目で見た時、そのご家族が幸せに暮らし続けられるようなサポートをすることも地元の工務店だからしなければならないと思っています。

「紹介だから安心」で終わらせないでほしい

私は、紹介というものをとてもありがたく感じています。長年地域で仕事を続けていると、「親が田中建築で建てたから」「友人から聞いて来ました」と言っていただけることがあります。こんなにうれしいことはありません。

でも同時に、怖さもあります。
信頼して紹介していただいたからこそ、私たちが勉強をやめてしまったら、その信頼に甘えることになるからです。
紹介は「この会社なら絶対大丈夫」という保証ではありません。

むしろ私たち工務店側からすれば、「これまで積み重ねてきた信頼を、次の家づくりでも裏切らないように努力してください」という宿題をいただいているようなものだと思っています。

地域工務店を選ぶなら、「地域密着+学び続ける姿勢」を見てほしい

私は、地域工務店には大きな可能性があると思っています。地域の気候を知り、土地を知り、職人さんを知り、お客様との距離も近い。これは家づくりにおいて、とても大きな強みです。

一方で、その強みに甘えてしまえば、弱みにもなります。
昔からのやり方。長年の経験。紹介による仕事。それらは大切な財産ですが、それだけでこれからの住宅をつくることはできません。

伝統や経験を大切にしながら、新しい知識を学び続ける。その両方が必要だと思います。

ですから、これから地域の工務店を訪ねる方は、ぜひいろいろ質問してみてください。
「この家の断熱性能はどのくらいですか?」
「耐震性はどう考えていますか?」
「長野の冬をどう考えて設計していますか?」
「最近、どんな勉強をしましたか?」
少し答えにくい質問でも構いません。

そこで完璧な答えが返ってくること以上に、分からないことをごまかさず、きちんと調べ、学び、説明してくれる会社なのかを見ていただきたいと思います。私たち田中建築も、創業から長い年月が経ちました。でも、長く続いていること自体が価値なのではないと私は思っています。

昨日より今日、今日より明日。より良い家づくりをするために、私自身もスタッフも職人さんも学び続ける。そして、その知識と技術を地域のお客様の暮らしに還元していく。それが、地域で家づくりを続ける工務店の責任ではないでしょうか。

家を建てる会社を選ぶときは、ぜひ「どこで建てるか」だけではなく、
「誰が、どんな考えで、どれだけ学び続けながら家をつくっているのか」
そこまで見ていただければと思います。

家は、建てたときだけ良ければいいものではありません。そのご家族の暮らしとともに、何十年も地域に残っていくものです。
だからこそ私も、地域で建築に携わる一人として、これからも学び続けたいと思います。

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